<降注ぐ星の全てを>
「静寂というものを、知らぬようだな。」
「まぁまぁ、あの人らじゃ無理でしょ。」
「最初から覚悟の上だ。」
「やっぱり?」
くいっと、杯の酒を飲み干す様を見ていた佐助は、
気になっていたことがあったのだ。
騒がしいのが苦手、というか嫌いそうな元就が、
何故この場に呼ばれて素直に出向いたのかと。
「それがわかってて、何で来たのさ?元就さん」
「…………。」
心意を探ろうと、佐助は素直に聞いてみたのだが、
チラリと元就と視線を交わらせ、黙したまま。
この沈黙に何故か耐えられなくて、
佐助は視線を逸らそうとした。
そうする前に、元就は口を開いた。
「利があるからだ。」
「ん?……誰かに会いに来たの?」
「鋭いな、忍びの勘か。それとも……」
「忍びだからね、で…ほかに何か?」
「………いや。」
「!……御一つ如何?」
「貰おう……。」
トクトクと、杯に注がれる酒の音が、
早鐘のように高鳴る心の臓の音のように思えたのは。
―――何故だろうか?
「我は、始めは人などに興味は持たなかった」
「元就さん?どうしたの?」
「だが、ある時より一人の人に、惹かれていると気づいた。」
兜を取った元就の髪が、吹いた風により
穏やかに揺れた。真剣な眼差しで見つめてくる
元就に、佐助は視線を逸らすことはできなかった。
「何度も、振り払おうとした。この感情は間違いなのだと。」
「………。」
「だが、そう考える度に想いは、大きく離れなくなるのだ!」
「……っえ?!」
元就に突然腕を掴れ、佐助はバランスを崩し
引き寄せられるまま元就の胸に飛び込んでしまった。
ドクドクと、平静を装う元就の表情からは
全く窺うことの出来ない、荒い鼓動。
佐助は無意識に赤面し、元就の言わんとしていることを
悟ってしまっていた。
「お前が手に、入るのならば。」
―――この天川の星々の全てを、捧げても良い。
「それほどまでに、好いておるのだ、……猿飛佐助を。」
「……元、就さん///」
「欲しいと、言うのならば。どんな手を使ってもあの星を手に入れよう。」
元就の言の葉に応えるように、
誰かへの贈り物の如く、数多の星が降注ぐ。
―――叶わぬとわかっていることすら、お前の為ならば。
愚か者に成り下がるのも悪くないと。思えてしまうほどに。
初☆元佐です!
初書きパート2☆
試行錯誤の繰り返し。
でも結構キザテイストで
お送りできたかと(え
キザといえば……アレですね。
半兵衛VS元就ですね(は/笑