<CaptivAte〜裁き〜>
『貴様が……元凶だったのか!!!』
気づいた時には、胸に水ではなく……
――――鉛球。
―――――――CaptivAte〜裁き〜―――――――――
『彼方は気づいた、真相に』
『彼方は気づけた、真実に』
『気づいてしまった彼方は、死んだ……』
けれどそれは、必ず何かに結びつくから―――。
「KKさぁん!!くらうッスよぉ!」
「お〜、当ててみな〜♪」
真夏の日差しが降り注ぐある日。
アッシュを連れて俺は、公園に来ていた。
公園には子供たちの姿はない。
この暑さで出たくないのか、或いは。
変わってしまった社会の中家で黙々とテレビゲームか。
勿論、俺も冷房の効いた部屋が望みだ。
しかし、それを超えて、優先することがある。
アッシュの兄弟、シュリとブラッドが死んだ。
俺にとっての友でもあったから、葬儀には勿論参列した。
俺が黒い装束に身を包むなんて、滅多にあることじゃない。
仕事が仕事なのだが、本当に親しい友人や、家族以外の
葬儀には、立たないようにしている。
しかし、神も恨みを買うのが好きなやつだ。
一度に二人も連れて行きやがった。
アッシュは勿論泣き崩れて、一週間。
死人よりも青ざめて、生きているのが不思議なくらいに
衰弱しきっていた。
アッシュを支えたのは、六だった。
勿論、俺も支えてやった。
ユーリとスマイルは心を痛めていたが、
押しかける報道陣をたった二人で押さえ込んでいた。
それもまた、優しさだろう。
ようやくアッシュが戻りかけた時だった。
六が、死んだ………。
体中を血に染めて、死んでいたらしい。
赤い着物もさらに赤く染めて、
あの綺麗な空色の髪も、どす黒くなっていた。
洗っても血は取れなかったらしい。
そして、アッシュは倒れた。
愛していた人が、次々と死んだら、悲しいだろう。
アッシュは優しすぎるから、尚更だ。
こいつは、誰でも愛せる。優しく包む。
そして、俺がユーリたちに代わって、アッシュを見ていた。
気晴らしになればいいと、公園に二人分の水鉄砲を持って。
俺がそんなことを思い出していると、アッシュはいつのまにか、
―――神と話していた。
『アッシュは、KKに……惚れてんのか?』
「っ!?……はぅ……ぁ…はぃッス//」
『そっか………』
神と何を話していたのだろう。
あいつは俺を一目見るや、その場から姿を消した。
「KKさん………」
「ん?どうした、アッシュ」
「行きたい所が、あるんスけど……」
俺はアッシュを後ろに乗せ、バイクを走らせた。
徐々に沈んでいく夕日。ガードレールの遥か向こうには
海が広がり、キラキラと輝いている。
着いた場所は、今は使われていないコンテナ倉庫だった。
こんなところに何の用があるのだろうか。
そしていつのまにか、アッシュの姿はなく。
「アッシュ!……っ」
「へへっ!KKさん!Bang♪」
アッシュは俺の背後から出てきて、水鉄砲を構えた。
俺は苦笑して、それを受けるつもりでいた。
しかし、いつになっても水が当たる気配はない。
見れば、アッシュは突然頭を抱えて蹲った。
「あ……ぁ……オレ……オ…レ…は…!!」
「アッシュ?どうした!!」
「オレ……が……っ!!!?あああああぁ!!!!」
「おい!!アッシュ!!?しっかりしろ!どうしたんだ!」
『オレが、三人を殺したんスよ……』
――――パァン!!!
――――――何が……起こっている?
「ッがは!!?」
パタパタと、地面に鮮血が滴り落ちる。
脇腹を撃たれ、俺は膝をついた。
アッシュはいつのまにか立ち上がっていて。
構えていたのは、水鉄砲だった。
「な……に……言って……?」
『オレが、三人を殺したんスよ…』
シュリとカーシュは互いに撃ち合うように仕向け。
銃弾の軌道を変えて片方が生き残ることを防いだ。
六の場合は、体に巣食った妖かしに魔力を注いで、
アッシュを刺すように命じた。
しかしまあ、アッシュが勘違いをして死んだのは、想定外。
互いに想いをすれ違わせたままに、死んだ。
そして、今……―――――。
「お前が死ぬんだよ、KK」
アッシュの声だが、アッシュが言っている言葉ではなかった。
水鉄砲を持つ手を俺に向けさせるのは、
ふわりと浮き不適に笑う、神―MZD―。
「アッシュが全部思い出したことも、想定外だがな。」
「貴様が……っ貴様が元凶か!?神ぃ!!!」
「そうさ……お前ら邪魔なんだよね……アッシュの心を…奪うからな…」
「?!……お前…まさか、そんなことであいつらを殺したのか?!!」
「そんなこと?俺にとっては大問題だ。……まあ、気づけたのは、褒めてやるぜぃ」
悲しそうな顔のアッシュに気づいたのか、そうでないのか。
MZDは嬉しそうに笑い、俺の額に水鉄砲を押し付ける。
「お前は……アッシュが発狂するまでそんなことを続けるのか…!」
「……あばよ、KK……永遠にな……」
―――――昨日夕方の事。
都内ビル清掃員の男性が、コンテナ倉庫で遺体で発見される。
遺体は体中を銃で撃たれ、失血で死亡とみられる。
犯人の目星はつかず、捜索は困難。
被害者の足跡しか見つからず。
「………KK……さ…ん……」
「……ユーリ…」
「あぁ、KKの伝えたかったことは、理解した。」
アッシュの握り締める帽子の中から、見つかったもの。
神から隠し通した、メッセージ。
帽子の中には銃弾と、血で書かれた、文字。
『神の、裁き』
無意味な裁きを与える神に、
――――今、妖しが裁きを与えん。
〜CaptivAte〜……fin……〜
CaptivAteシリーズ、第三段。『裁き』です。
ええ、題名はいわずと知れたあの方の歌(w
これで一応シリーズ完結になりまする。
物語の結末は、ある意味最悪ですね(何w
これの続きは、日記で公開済です。