<Chain of memory>



『おら、カーシュ!写真撮んぞ!笑え』
『…………嫌だ。』
『カーシュ?』


ある時から俺は、写真ってものが嫌いになっていた。



―――――――………。


「これはムラサキさんとハニーさんと撮った写真ッス!」
「……んで、これは?」
「これはCDジャケットのイメージとして撮った、メンバーのプリクラッス//」
「ふぅん。………(くっつきすぎだ透明人間)」


アッシュはやけに珍しく不機嫌なカーシュに小首を傾げた。
何に対して機嫌が悪いのか、わからない。
一方のカーシュは別に怒っている訳ではない。
ただ、嫌いなものを見ているのでつい、
顔に出てしまっているだけだ。


「カーシュ、今度一緒にプリクラ、撮らないッスか?//」
「ん?……あ〜、悪ぃ;」
「あ、はずかしいッスよね;」
「そうじゃ、ねぇんだ。……写真、苦手でな」
「へ?カーシュが?」
「んだよ?………変か?」
「だって、モデルの仕事してるんでしょ?」


表の俺の仕事は、ファッションモデル。
確かに毎日写真を撮られる生活だ。
だが、それは苦にはならない。



俺が嫌なのは………。


思い出の写真って、やつだ。


「何で、写真苦手なんスか?」
「………。」


怖いんだよ、俺は。
アッシュが来る前に。
俺の両親と写真を撮ったことがある。
写真を撮ったら魂を抜かれるという子供の迷信も。
最初は信じてなんかいなかった。
勿論、今も信じてはいない。


だが、信じていないが、嘘ではないのかもしれないと、思う。


両親は、写真を撮った翌日に、死んだから。


「………シュ……ッカーシュ!」
「っ…!!……あぁ、悪い。呆けちまってたな。」
「………カーシュ、時々オレを悲しそうな眼で見るッスね」
「!!……お前」


アッシュは俺が何か言おうとしたのを
さえぎる様に、耳を赤く染めて抱きついてきた。
俺の上に跨るように座るアッシュに、
カーシュは苦笑し、やれやれと頭をなでた。


「オレは、カーシュと一緒にいるッス。『今』という時を、一緒に過ごしてる」
「…………アッシュ、俺はな。」


写真に写る俺とアッシュを見て思うんだ。


俺は、愛するこいつを置いて生きていくのか、と。
明らかな年の差。たったの2年の差でも。
人狼という種族の運命が、襲ってくる。
俺の恐れは只一つ。


「お前を、失いたくはない。」



ただ、それだけだ。


「オレも、怖いッスよ。カーシュ」
「ッ!!」
「カーシュと離れるのが、怖い。消えることが、怖いッス」


だから、ね。カーシュ。


「恐怖を、一緒に感じよう?」


嬉しさも、悲しさも、苛立ちも全部。
二人で、分けて、一緒に過ごそう?

オレは、それで幸せだから。


「………はは、やられたよ。アッシュ」


お前が言うなら、そうしよう。

共存、しようか。

共有、しようか。


二人で幸せに、生きていく為に。



キリ番<61016>ゲッター 綾様へ捧げます!赤緑です! 赤兄は過去のショックはそれほど 気にしてなく、アッシュを重ねてしまった だけです。それだけでこの効力なので アッシュは絶大な効力なんですね。 リク有難うございました! こんな文でよろしければ!!
inserted by FC2 system