<W物語>



『アオォォ〜〜ッン!!』



三匹の狼男が住むという、森の中を遠吠えが響く。
少し毛色が薄い、黒いチョーカーを巻いた
狼が暫く間を置いて吼える。
すると、近くの茂みから赤みの毛並みをした狼が現れた。
スンスンと互いを何か話しているように。
体を擦り合わせ鼻を鳴らす。

突然赤みの狼が茂みを睨んだ。
唸り声を上げ牙を向く。
チョーカーをつけた狼はその姿を冷静に眺めていた。

茂みからは数匹の狼が現れ、同じように牙を見せる。
尾をピンと立てて、赤みの狼とグルグル回り様子を見合う。
数匹の狼が赤みの狼を囲みだした頃に、
チョーカーの狼が鋭い眼光を向けた。


『てめぇら、赤眼の狼を知らねぇか?』
『あぁ?……知らないね!』
『何匹喰ったか覚えてねぇからな!』
『んだと!!』
『やめとけ。そいつら馬鹿だから話になんねぇよ。』


チョーカーの狼が吐き捨てると、狼が吼えた。


『てめぇ、お犬様みたいにチョーカーなんかつけやがって生意気な』
『……お犬様、ねぇ。お前ら、この森が誰の縄張りか知らねぇのか?』
『はん!知ってんよ!此処は「白銀狼のシュリ」の森だろ!』
『…あ〜ぁ、救えねぇな「兄貴」。知ってて喧嘩売ってきてんだけど?』
『ま、まさか……お前ら二匹……!?;』
『……出てく前に、もう一回聞くぞ。』


人間的にあらわせばこういうのだろうか?
ドスの利いた声で、数匹の狼に吼えた。


『赤眼の狼を、知らねぇのか?腹の中だのヤッただの抜かしたら』
『「カーシュ」まて。それは、俺様の台詞だぜ♪』
『た・・・助け・・;』
『弟の言うようなことをしてやがったら、ぶち殺すぞ!!あぁ!さっさと吐けやぁ!!』


何とも子犬のような声をあげて逃げていく狼に、
二匹の狼は一瞬光に包まれたと思うと。
その光が晴れると人の姿になっていた。
日の光に銀にも見える白髪に、首に黒のチョーカーを巻いた
広大な森の主『シュリ』だ。
もう一人は呆れ顔で逃げる狼を見送る赤髪の「カーシュ」。


「ちっ!勝手に入っただけでも殺してやりてぇとこだが・・。」
「あいつら馬鹿だな。兄貴をお犬様とか・・。死にたがりか(ぼそ)」
「にしても、もうすぐ日が暮れる・・ああ〜!どこで迷子になってんだ!!!」
「お、落ち着けよ兄貴!折角さっきまで威勢よかったのが台無しだぜ?;」
「「アッシュ」!!俺様の可愛い弟のアッシュうぅ〜!!!」
「・・・あ〜ぁ。いつから過保護になったんだか。ま、俺もか(ぼそり)」


そう。この二人が何をしているのかというと。
迷子になったらしいアッシュを探すためであった。
今やすっかりシュリ家のアイドルであるアッシュも、
人間年齢で言うと「10歳」になった。
しかしシュリはアッシュが大きくなるにつれて溺愛ぶりが増し、
現在のようにアッシュの姿が少しでも見えないとか・な・り。


「心配し過ぎもどうかと思うぜ?兄貴。」
「お前は心配じゃねぇのか?!もしさっきみてぇな奴らに可愛いアッシュの貞操が――」
「ごめん。訂正。・・・ぶち殺す」
「匂いもしねぇし・・・ほんとどこにいって――」



『きゅんきゅん!』


「「きゅんきゅん?」」


(あ・・あんな可愛らしい声を発するのはアッシュしかいねぇ!!)
(落ち着け兄貴!!前みたいに罠だったらどうすんだ!!;)


二人が口論している間に、茂みが動きぽてぽてと可愛らしい効果音(足音)で
近づいてくる人物がいた。



「ぷはぁ!茂みさんいっぱいだったっす!あれ?シュリ兄さんにカーシュ兄ぃ?」
「・・・・・・・・あ。」
「アッシュうう!!!無事か?!どっか怪我は?!(貞操は?!)」
「兄さん!お土産!あとね、ニンジンさんとか買ってきたの!」




――――――ミラクル・キューティクル・チャーミングフラッシュ!!!


「兄貴いぃ!!!意味わかんねぇこと言って倒れんなよォ!!;」
「あう?シュリ兄さん?お腹イタイイタイなんすか?」
「・・?!み、見るなアッシュ!!大丈夫だ!ちょっとした発作だ!!(んの兄貴!!)///」


どうやらアッシュの満面笑顔にシュリのシュリ(え)は大変なことになってるらしいです。(お下品)
シュリはどうにか大人?のプライドやら何やらで治めて。
アッシュを片腕に抱き、カーシュを肩車し、夕食の材料の袋を持って。
何だかんだでいい兄貴な姿で家へと帰っていくのでありました。




―――――・・・・。


「今日はシチュさんっす♪」
「いいか?人参は狼型に作ってやる!こう切ってだな」
「(兄貴って、ほんと何でもできるよなぁ・・。)」


ほのぼの「わんわん物語り」は、本日は此処までとなったのでありました。


ちゃんちゃん!!



久々更新!!犬犬犬でした!!(え 兄弟ネタ大好きです!! あるお方の拍手で書く気が急におこりまして! やっと、ポプの更新が出来ました!!。 まだまだポプやっていけそうです!
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