<JEWEL>



「いいか、佐助には秘密だぜ?」
「う、うむ!;」
「政宗と旦那?」


いつものように幸村の部屋の整理をしていると、
ひそひそと客間から話し声が聞こえてきた。
佐助は自分に関する話ということで、
気になり、聞き耳を立てた。


「も――かが―――するらしい」
「なっ!!何と?!」


政宗の声が聞き取れず、佐助は眉を顰めた。
しかし、それも幸村の言葉ですぐに一変する。


「元親殿が……っ」
「(チカちゃん?何かあったのかな?)」
「許せぬ、俺は許せぬ!!」
「Hey,落ち着け幸村」
「何故!政宗殿も佐助を慕っておったのであろう?!」
「Yes,それには嘘偽りねぇ、が。今は落ち着けって;」
「俺は佐助の幸せを願い身を引いたのだ!それなのにっ!;」


――――元親殿が、縁談など!


ガシャンッと、手に持っていた花瓶を佐助は落としてしまった。
政宗がすぐ襖をあけて佐助の様子を見て舌打ちしながら、
佐助に近づき花瓶の破片を片付ける。


「佐助、怪我はねぇな?」
「………っ本当の、話?今の……」
「っ……怪我がないならいい。破片が――」
「なら、おめでたいよねぇ!そりゃあ一国の主さんだよ?チカちゃんはさ!」
「佐助……っ;」
「縁談の話くらい、来ておかしくないよ。おれは忍だからないけどさ!」
「おいっ!佐助!!」


佐助は笑顔を作り続けることが出来ず、どこかへ走り去ってしまった。
幸村は心配そうに、佐助の去った方角をみつめていた。


「落ち着けって、言ったろう?」
「……すまぬ。しかし――」
「stop!言うな。俺だって、最初はお前と、同意見だった。」
「!!政宗殿」
「だか、一国の主で縁談話が持ち込まれるあいつの気持ちもまた、理解できる。故に――」


―――複雑で、ムカつくんだ。



―――――――――・・・・。


「おぅ!幸村、政宗。佐助はどうした?」
「っ!お主、よくも堂々と!!」
「おいおい!;何だってんだよ?」
「……佐助はお主のせいで!;」
「何だってんだよ……」
「縁談話、佐助の耳に入った。」
「!………そうかよ。」


元親は政宗の言葉に理解したように、声色を落とした。
幸村は不機嫌そうにしていたが、政宗の先ほどの言葉を
思い出し、すまぬと言い部屋に戻ってしまった。


「で、どうすんだ。」
「縁談は断るにきまってんだろ」
「You fool?そっちじゃねぇよ。」


―――傷ついた佐助のことはどう責任とるんだ。




―――――――――・・・。


「……チカちゃん?」
「探したぜ、やっぱここか。」


佐助がいたのは、森の中にある小さな泉だった。
立ち上がろうとした佐助だが、何かを決めたように
その場に留まった。


「縁談あるんだってね、一国の主さんも大変だよねぇ!」
「佐助、縁談は――」
「結婚するんでしょ?大事なことだもん」
「おい、佐助?」
「おれ……やっぱりおれは忍だから、さ。釣り合わないし地位も天と地だ!;」
「佐助!話を聞け!!」
「っ……お願…ぃ…。優しく、しないでよ;」


その場を去ろうとした佐助の腕を掴み、
元親は自身の胸に引き寄せた。
もがく佐助を押さえつけ、元親は胸が痛む。


「佐助、お前は―――」
「言わないで!聞きたくないから!!;」
「俺の縁談を快く思うのなら!何で泣くんだよ!!」
「っ……だって…おめで、たい…じゃない;」
「顔と言ってること、合ってねぇよ」
「ははっ……っほんと、言わないで;」
「快く別れようと思うのなら、目を見て質問に答えろよ」


――――お前は俺と、別れたいのか?


「………ぃ、よ」
「……。」


震えながら、小さな声で佐助は呟いた。
本当に小さな声だったが。
想いは、とても大きなものだった。


「別れたく、なぃ!;」
「……俺はな、佐助。縁談は断る。それから」


一国の主でもあるが、俺は。


―――海賊だ。


「お前は最高の宝だ。手に入れたからには、一生俺のモノなんだよ」
「………。;」
「傍に、いてくれ。お前がいないと、俺ぁ駄目だ。」
「…………うん;。」


流れた涙は、悲しさの重さと。
貴方の想いの、大きさ。





**********
後書き
狼様リクの
「縁談ハッピーエンドチカサス」です。
お待たせいたしました!
こんな文でよろしかったでしょうか?
リクエスト有難うございました!
**********




inserted by FC2 system